04 株式会社ネイチャーオブシングス

レターギフトサービス「RETTEL(レッテル)」はこうして生まれた

複数人がWeb上で制作でき、大切な人に対して紙の本で贈れる寄せ書きサービス「RETTEL(レッテル)」について、ネイチャーオブシングス代表 濱本さん(以下、敬称略)とフューチュレック代表 神田にお話しを伺いました。

左からネイチャーオブシングス代表・濱本氏とFUTUREK(フューチュレック)代表・神田

御社のサービスの中核を担うレターギフト(プレゼントになる手紙)というアイデアはどのように着想したのでしょうか。

濱本

前職の広告代理店時代、娘が生まれたことをきっかけにパートナーや大切な人に感謝や愛情の気持ちを絵本で伝えられる「シカケテガミ」というサービスを作ったんです。多くの日本人がそうだと思いますが、自分は感謝の気持ちが照れくさくてちゃんと人に伝えられない性格でした。でも、シリアスな言葉もLINEのスタンプが絶妙なニュアンスを与えてくれるように、文章にもコミカルなビジュアルが合わさることで、良い意味で「ごまかし」を効かせられるんじゃないかと着想した「絵本 × 手紙」という形態がレターギフトの原点になったんです。

「RETTEL」を手がけるネイチャーオブシングス代表・濱本 智己氏

新サービス「RETTEL」と「シカケテガミ」の違いはどういったところになりますか?

濱本

シカケテガミはパートナーなどの大切な人に向けた1:1のギフトとして商品ラインナップを広げてきました。これに対してRETTELはN:1、つまり複数人で贈れるレターギフトです。


昔から退職者などに寄せ書きを贈る慣習がありますよね。でも、そうしたものは幹事の負担も大きく、儀式的になることが多いと感じていました。そこでRETTELでは、
メッセージを贈るプロセスをオンラインで楽しくでき、贈られた人にとって宝物になるようなモノにしています。

「クライアントと外注先」の関係を超えたパートナーシップ

システム開発をFUTUREKに依頼した経緯を教えていただけますか。

濱本

シカケテガミを立ち上げた当初、何を基準に制作会社を選ぶべきかの判断がつかずにとても苦労しました。レターギフトは、お客さん自身に「商品をつくる」体験をしていただくので、体験を支える裏側の仕組み(バックエンド)がとても大事なんですね。でも、それ以外の表現も妥協したくなかったので、デザインと仕組みのバランス感覚に優れた制作会社として紹介されたのがFUTUREKさんだったんです。

RETTELのプロデューサーの神田さんは、経営とテクニカルディレクターの両方の経験があり、ユーザビリティを前提にシステムのあるべき姿を議論できる、非常にありがたい存在です。

FUTUREK代表・プロデューサー:神田 宗秋

まさにサービスに合致したマッチングだったんですね。

神田

相性の良さには、弊社のフットワークが軽くて意思決定がスムーズということもあります。週1の定例やSlackで濱本さんとやり取りできるので、クライアントでもあり、ゴールを共にする仲間でもあると思っています。

濱本

ぼくも未知な分野の話をするときは不安になることも多いのですが、専門的な部分については、たとえ自分たちがお客さんでも、FUTUREKさんのように正確に状況を伝えてもらう方が意思決定しやすいです。

互いが領域侵犯を厭わないからサービスのあるべき姿を追及できる

制作上意識した点はどういったところですか?

濱本

(寄せ書きの)幹事の負担を軽減し、参加メンバーが制作プロセスを楽しめるかという点です。サービスの使い勝手がよくないと既存のものの代替にはなれないので、強く意識した部分です。

神田

あとは、複数人が参加する前提のサービスなので、誰でもわかるUIを徹底しました。

RETTELのシステム開発において、最も苦労したことを教えてください。

濱本

最初の挙動確認で「この読み込みの遅さはユーザーに不親切」となり、その段階から作り直したことです。ほとんどの制作会社はその段階では読み込みの遅さを納得してもらえるようなスタンスをとると思いますが、修正案を出してきた神田さんを見て、良いサービスを創りたいという気概を共に感じられて本当に嬉しかったですね。

システム開発は良いモノを創ろうと思えばコストもかさむジレンマがあると思います。どう折り合いをつけましたか?

神田

リソースは無尽蔵ではないので、工数をかけないところと工数をかけてでも実現した方がいいところの温度感は、お互いに同意を取りながら進めました。そして、いかに両者が納得できるかはプロデューサーの腕の見せ所だなと思います。ECプラットフォームサービスのShopifyの既存機能や、アプケーション部分を別サーバーで処理したのも今回の工夫の一部です。

濱本

最初からサービスに予算が潤沢にあるわけではなかったので、開発当初は何にどの程度工数やお金を見積もるべきか、コストの相談にはかなり警戒していました。

でもFUTUREKさんは、良いモノを創ることに対してサービス事業者である僕と同等の情熱を持っているので、コスト配分の話も忌憚なく意見することができています。実装面で入り組んだ話になってくると、僕とエンジニアさんの直接のやりとりだとニュアンスが伝わりづらい部分もあるのですが、経営者と現場の双方の視点を持つ神田さんがうまく翻訳してくれて、助かってます。

最後に、お二人にとってB2Cサービス開発の楽しさはどういったところにあるのでしょう?

神田

自分たち自身が利用できることと、より良いユーザー体験を想像しながらクライアントと一緒に楽しく作れることの2点ですね。何よりも専門性が違う方と一緒にモノづくりができる楽しさを非常に感じます。

濱本

僕も神田さんもお互いに「自社の中だけで適材適所は生まれない」っていう前提を持っている気がします。僕は事業アイデアは持っているけど、それを形あるものに変換することができません。アイデアに命を吹き込む過程で、自分に足りない部分を補ってくれるFUTUREKさんのような存在は本当にありがたいと思います。

反対に神田さんも自分や自社にないものを僕に感じてくれているんだと思ってます。ロールプレイングゲームみたいに得意領域の異なる仲間ができて、一緒にひとつのゴールを目指していくプロセスが一番楽しいです。

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